情報提供: ディスカバーたいはく4号
 所在地: 仙台市太白区門前町
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

253 殿さまと大あくび

 いまから三百年ほどむかし。仙台藩四代の殿さま綱村公が、根岸の地に大年寺を建てようとお考えになった。
 おおぜいの家来や作事方(工事をする人)をつれて根岸にかよったが、どういうわけか縄張り(縄を張り建物の位置を決めること)がお気に召さない。ああでもないこうでもないと、殿さまをかこんで話し合いが何日もつづき、工事のために集まっていた何百人という人たちも困りはてていた。

 そんなある日、話し合いの最中にだれかが大あくびをした。それが殿さまにも聞こえてしまったから、たいへん。
「あくびをしたのは何者じゃ」
というきびしい声に、みんなまっ青。軽くてお手討ち、一家一門のご成敗にもなりかねない。その時、
「お殿さまのご前もはばからず、大あくびをした無礼者は拙者めにございます」
と、作事方のひとり長右衛門(ちょうえもん)が名乗りでた。
 綱村公は、ジィーと長右衛門を見つめ、そしてたずねた。
「何が不満で大あくびをした」
 それに対し、長右衛門は
「毎日毎日の話し合い、作事方一同たいくつでございます。拙者のあくびはそのあらわれかとぞんじます。ご成敗を覚悟いたしております」
と、はっきり申しあげた。その場はシーンと静まりかえり、だれもが息をひそめ見守った。

 すると、綱村公はにこりとされ、
「よし、無礼は忘れよう。そのかわり、そのほうが寺の縄張りをやってみよ」
と申された。
 長右衛門が、すでに考えていた縄張りを図面にかいてお見せしたところ、たいへんお気に召され、なんと工事の一切を任されることになった。

 そうして、かつては松島の瑞巌寺と並ぶといわれたほどの、りっぱな両足山大年寺ができあがったそうだ。

   


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