情報提供: ディスカバーたいはく4号
 所在地: 仙台市太白区茂庭
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

234 お婆さんの敵討ち

 むかし、ある村におじいさんとおばあさんがいた。ふたりは、畑の仕事をしながらたいそう仲良く暮らしていた。
 そんなある日、おじいさんは裏山にすむ古狸に悪さをされ、大けががもとで死んでしまった。おばあさんの嘆きは大きく、毎日毎日かなしみにくれながら、何とか古狸をつかまえて、おじいさんの敵討ちをしたいと思っていた。

 ある晩、古狸はおじいさんが死んだとも知らず、しょうこりもなく、おじいさんそっくりに化け
「おばあさんや、今帰ったよ」
とやってきた。おばあさんは、いつもの調子で
「おじいさんおじいさん、お疲れになったでしょう。さあさ、はやく休みましょう」
とむしろの布団をしいた。
 狸が横になったところを、クルクルッとむしろ巻きにし、縄で動けないようにしばり、そばにあったほうきで
「死んだおじいさんの敵―」
と何回もこらしめてやった。すると、
「悪かった、ほんとうに悪かった。もう、絶対に悪さはしませんから、かんべんして―」
涙をながしながらたのむ狸を見て、おばあさんもかわいそうになり、縄をといて放してやった。
「狸をこらしめたからって、おじいさんが帰ってくるわけじゃない。もうだれにも悪さするんじゃないぞ」
と、逃げる狸のうしろ姿をみつめながら、おばあさんはつぷやいた。

 そんなことがあってからというもの、よくおばあさんの家の土間には栗やきのこ、山菜などがおかれていたそうな。

   


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