情報提供: ディスカバーたいはく4号 | ![]() |
所在地: 仙台市太白区茂庭 | |
連絡先: 太白区まちづくり推進協議会 | 電話: 022-247-1111 |
関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html |
230 阿古耶姫(あこやひめ)と松 |
むかし、赤石橋は大雨が降るたびに押し流され、とても難儀していた。 ある時、巫女のお告げで 「西北の山に松の大木がある。その松で橋を架ければ、大丈夫」 という。 西北の方角を探すと、出羽(山形)の千歳山(ちとせやま)に驚くほど太い松の大木があった。赤石の人たちは大喜びしてさっそく切り倒そうとするが、松の木の堅いことったらない。斧がはじき返され、十人がかりでも五分の一しか切れなかった。 次の日、さらに人数を増やしていってみるとなんと、昨日切った切り屑が幹に戻り、木はすっかり元通り。 次の日も切っては戻り、また次の日も・・・。 そこでみんなで相談し、切り屑を燃やしながら仕事をつづけたところ、五日目、ようやく松の木がドッシーンと音を立てて倒れた。 一方その頃、千歳山の麓にある阿古耶姫の屋敷に、ひとりの若者がやってきた。 「わたしは、毎日お姫さまと顔を合わせていた松の木です。もうすぐ笹谷峠の向こうの赤石に運ばれます。お姫さまと会えるのも今晩だけです」 と、若者は涙を流し、暇乞いをして去っていった。 それからまもなくのこと、松の大木は、数頭の牛に引かれて運ばれていくことになった。が、こんどは大地に根を張ったようにびくとも動かない。 赤石の人たちはすっかり困り果ててしまった。 そこに阿古耶姫がきて、松の幹を撫でながら 「みんなのためです。どうか赤石の橋になってください」 と、優しく語りかけたところ、ふしぎやふしぎ、今まで動かなかった松の木が、いとも簡単にスルスルーッと動きだしたそうな。 人は、この松のことを「阿古耶松」と呼んでいたということだ。 |
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