情報提供: ディスカバーたいはく4号
 所在地: 仙台市太白区根岸町
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

159 カシの実の話

 むかし、たいそう話の好きな殿さまがいた。
「わしに、あきるほど話を聞かせた者には姫を嫁にやる」
と、おふれを出した。
 話のうまい者たちは、われ先にと殿さまのところへ。しかし、なかなかあきさせる話をできる者はいなかった。
「そんなら、おらが」
と、ある村の若者が、お城に出かけていった。

 若者は村のことを話した後に、川のそばにある一本のカシの木の話をはじめた。
 村のカシの木はそれはそれは大きな木で、秋になるとカシの実が、空の星ぐらい、海の砂ぐらいいっぱいなる。そして
「カシの実が川こさポトンと落ちてツンプクカンプク流れていったんだと。
またカシの実が川こさポトンと落ちてツンプクカンプク流れていったんだと。
また、カシの実が川こさポトンと落ちてツンプクカンプク流れていったんだと」
「これこれ、次を話せ」
と殿さまがさいそくしても
「カシの実はまだまだ星の数、砂の数くらいございます。
カシの実が川こさポトンと落ちてツンプクカンプク流れていったんだと。
その次のカシの実も川こさポトンと落ちてツンプクカンプク流れていったんだと・・・」
殿さまが朝起きて寝るまで若者は
「ツンプク、カンプク・・・」

 とうとう七十五日目の朝、さすがの殿さまも
「もうよい。わしの負けだ。姫はそのほうの嫁にやる」
 そうして、若者はカシの実の話でお姫さまを嫁にしてそれはそれは仲良く幸せに暮らしたそうな。

   


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