情報提供: ディスカバーたいはく3号
 所在地: 仙台市太白区根岸町1−1
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

157 義鶏の墓

義鶏の墓
 昔、宗禅寺の檀家の鶏がしきりに宵鳴きをするので、これは縁起が悪いと広瀬川に捨てられた。ところが、その夜、宗禅寺の住職が夢を見た。それは
「私は某檀家に飼われていた鶏ですが、猫が主人一家を絶やそうと企んでいます。
それを知らせようとして、やむを得ず宵鳴きをしたために殺され川に流されてしまいました。宗禅寺の崖下の杭にひっかかっている屍が私です。
何とか主人を救いたいので、どうぞ明朝食事前に主人の家に行ってこのことを伝えてほしい。」
という殊勝な頼みであった。
 住職は不思議に思って崖下をのぞくと鶏の屍があった。
 これはただ事ではないと檀家の家を訪れ、この話をしている時、猫が蓋の取ってあった汁鍋の上を飛び越え口にしていた何かをその中に落とした。それをみるとどろどろに腐った毒の蜥蜴(とかげ)であった。つまり鶏は主人一家の危難を救ったのである。
 この鶏の屍を川から拾い上げ墓を建ててねんごろに弔った。
 宮沢の宗禅寺の山門の傍らに「卍不是人間之塔」(これは人間の塔ではない)と刻まれた碑が義鶏の墓である。


鶏塚(異説)
 昔、宗禅寺の和尚が飼っていた鶏が宵鳴きをするので、殺して広瀬川に棄てた。
 するとこの鶏は隣家の某の夢枕に立ち、飼猫が和尚の膳の上を飛び越え食べ物に毒を落とし和尚を殺そうとしている。それを知らせようとして宵鳴きをしたら、かえって殺されたという。
 某はこれを和尚に知らせ、和尚はこの鶏の屍をひろいあげ、塚に葬りねんごろに弔った。
 その後、裏の竹薮(たけやぶ)から南瓜(かぼちゃ)を見つけたので、これを食べようとすると死んだ鶏が和尚の夢枕に立ち、その南瓜には毒があるから食べるなという。
 その南瓜の根を掘って見ると、猫の髑髏(どくろ)の眼から生えていたという。


義鶏の墓
義鶏の墓

   


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