情報提供: ディスカバーたいはく3号
 所在地: 仙台市太白区中田7丁目30
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

120 名取老女

 鳥羽院のころ、名取老女とよばれ、紀伊の熊野権現を篤く信仰している老女がいた。
 ある日、一人の山伏が訪ねてきていうには
「私が陸奥の国の松島へ旅しようとして熊野権現へ参詣したその夜、夢の中に梛(なぎ)の葉を持った衣冠正しい老人が現れ、
『奥州へ行くなら名取老女を訪ねなさい。この人は信仰深く若いときはよく参詣してくれたが、今は年老いてそれも出来なくなった。今でも毎日拝んでいることは、とても感心なことなのでこの一葉を届けて欲しい』
と告げた。私が目をさますと梛の葉に
『道遠し年もいつしか老いにけり思いおこせよ我も忘れじ』
という歌が書いてあった」

 老女は感涙に咽(むせ)び
「私は年老いて熊野に参詣出来ないのがあまりに悲しいので、小社を建てて権現様を祀り、毎日拝んでいたのです」
と山伏を小社に案内した。

 このことから老女の篤い信仰のことが村中に広まり、後に人々は名取熊野三社と老女神社を建てた。

   


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