情報提供: ディスカバーたいはく3号
 所在地: 仙台市太白区坪沼字大苗10
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

108 南赤石観音堂の由来

旧笹谷街道脇にある赤石観音堂。十一面観音像が本尊
旧笹谷街道脇にある赤石観音堂。
十一面観音像が本尊

十一面観音像 本体十四センチ(台座を含め二十二.五センチ)
十一面観音像 本体十四センチ
(台座を含め二十二.五センチ)

独鈷(仏教修行道具のひとつ)
独鈷(仏教修行道具のひとつ)







南赤石観音堂の由来
 昔、南赤石に正直で慈悲深き農夫有。夏の頃には毎夕馬を名取川に浴せむ。或る夕例の如く馬を川に入れてふと川底を見るに光り輝く物あるを見ておどろき、家に帰り一部始終を話せしに、家族怪しみて川に来り見るに何の変わりしこともなし。翌夕再び馬を川に入れて川を見るに光り輝くこと昨夕に倍したを見て益々驚き家に帰る。

 寝に就く夢に観世音の示現有。翌朝斎戒(さいかい)をして川に入り金光輝く仏像を拾い上げ恭しく之れを川の中程にある突き出せる石に安置し。故にこの石を座石と称せらる。後に宿民之れを訛ってザル石と云う。更に農夫の家の神棚に奉仕せるも神徳を汚さんことを畏れ赤石山円通寺に奉遷せり。
 円通寺は頼光院高山家の先祖なり。偶々慈覚大師開山の爲地所ご選定にて暫く円通寺に足を留められし際、住僧観世音寺跡を話せしに、大師仏像を拝され、御尊像は世にも稀なる十一面観世音なれば堂宇を建立して奉祠せよといわれる。宿入等と計り赤石山の上方高地を選び堂宇を建立せり。

 観音堂の宝物の内に日本独鈷(どっこ)の一つがある。他に高野山金剛峯寺に一つ、山寺立石寺に一つあるを謂う。独鈷の長さ五寸位で甚だ重く質の何んであるかを知る人なし。
 この独鈷をもって祈祷すれば如何なる難病も快癒すると伝えられ、珍重されている。巷間に伝わりし伝説を記したものである。


十一面観音像
 本尊の十一面観音像は天正年間赤石川より拾い得て之を安置するとある。十一面観音像の相貌も前面か後面か金属のいかなる種類か等判然としない。まことに作の古いものである。
 後面半ばより少し上に鋲があり、台の少し上に鋲のとれた跡がうかゞわれる。此の点から後面にあったものがすでにとれてしまったものであることが判る。台の下は何物かにはめ込む如く出来ている。之もすでにとれてしまったらしい。
 郷説に慈覚大師時代に赤石山円通寺があったといわれているから、恐らく何時頻廃したか判らないが同古寺の附属物に相違ない。すべてあるもの観音像をはじめ寸尺の無い物である。

   


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