情報提供: ディスカバーたいはく4号
 所在地: 仙台市太白区秋保町
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

53 狐の嫁入り

 むかし、秋保の大地主が狐をうんと脅かしたことがあった。
 ある春先、その地主の苗代で手間取りの若者たちが苗代づくりをしていたところ、昼どき、向こうから狐が一匹やってきて、クラックラッと三、四回、でんぐり返しをしたとおもったら、綺麗な姉さまになって、こういった。
「ねえ若衆、今晩、狐の嫁入りがあるのよ。めったに見られるものじゃないから見にきたら・・・お振舞の場所ではたくさんご馳走もでるし」
 若者たちは、せっかくだからと相談し、その晩は夕飯も早々に、昼間の場所で待っていた。
 ほどなく、いくつも、いくつも提灯がつづいて、狐の嫁御が籠に乗ってやってきた。その華やかさといったら・・・、たまげて見とれていると、昼間の狐がやってきて、いつの間にか、お振舞の場所に案内されていた。
「ご馳走の前に、さあさ、お風呂に」
といわれ、こんないいことめったにないと、
「それじゃ、お風呂いただくから」
と、若者たちはホイホイ、温泉場にでもいった気分でガボガポと楽しむこと、時のたつのも忘れるほどだった。

 真夜中、大地主があまりの賑やかな声に起きて外にでてみると、なんと、若者たちが一反歩もある大切な苗代をみんな踏んづけているではないか。
 これは、そうそう、大地主にうんと驚かされたあの狐の仕返しであったそうな。

   


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