情報提供: ディスカバーたいはく4号
 所在地: 仙台市太白区秋保町
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

51 清四郎淵

 むかし、境野の部落に清四郎という働き者の婿がいた。
 秋保の里にもうすぐ雪が降るというころ、清四郎は切り立った淵の岩場に足をかけ、薪伐りをしていた。ほんの一瞬のこと、清四郎は足を滑らせズルズルと・・・、が、あわやのところで木にしがみつき、助かることができた。

 しかし、大変なことに、だいじな鉈(なた)を落としてしまっているではないか。
「ああ、俺は婿だ。明日使う鉈がなくては家になど帰れない・・・」
 思いきって、清四郎は鉈を探すために淵へ向かってざぶん。吸い込まれるように潜っていくと、なんと、淵底に鉈を抱いた美しい女の姿が・・・。おどろいた清四郎は夢中になって、水面に上がろうとしたところ
「待って、もう一度潜ってくれば鉈を返してあげる」
と、女の声。
 清四郎はふたたび潜って淵底へ。ところが、いざ淵底にたどりついてみると、女の姿は鉈とともにかきけすように消えた。そして淵底からは突然、ぬるぬるした泥が気味悪く沸き上がり、みるみるうちに、清四郎の自由をうばい、とうとう、清四郎は帰らぬ人となってしまった。

 この淵は、むかしからウナギの主が住んでいたといわれたところで、その後、村人はこの淵を「清四郎淵」と呼んでいたそうだ。

   


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