情報提供: ディスカバーたいはく4号
 所在地: 仙台市太白区秋保町
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

50 大根の歳とり

 むかし、むかし、ずっとむかし、秋保の山里でのはなし。
 若い嫁っこが、家の前の小川で大根を洗っていた。そこに、みすぼらしい姿の旅の僧がやってきて
「昨日から胸が焼けて苦しい。大根をかじればスゥーとする。どうか一本めぐんでくださらんか」
といって、へたへたと座り込んでしまった。嫁っこが
「お気の毒なことですが、舅に数をかぞえてわたされたので」
と断ったものの、旅の僧は胸をおさえながらなかなか立ち去らない。心やさしい嫁っ子はいま一度かぞえ直してみたが、数はかわらない。
 その時、旅の僧が、大根の山をながめながら
「嫁どの、その二股の大根も二本とかぞえたのかな」
と聞いた。
 嫁っ子ははたと気がつき、二股の片方を折って旅の僧へ差し上げたところ、受けとった旅の僧は
「ありがたい」
と大いによろこび
「私は出雲の国の神じゃ。嫁どのの田の稲がよく実り、畑の大根が太くなるようにしてしんぜよう」
と、いく度もいく度も礼をいって、峠の方へと立ち去っていった。
 なんと、この僧こそ、田畑を守り福をさずける大黒様であった。

 それから、旧の十月十日は「大根の歳とり」といって、二股の大根を神棚にそなえ、炒り豆と小銭を一升枡に入れて振りながら、
「大黒さん、大黒さん、今年より来年は※よい耳を聞かせてください
と、三回唱えるようになったということだ。

※いいことを聞かせて下さい、という意味。

   


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