情報提供: ディスカバーたいはく3号
 所在地: 仙台市太白区秋保町
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

35 磐二磐三郎物語

 その昔、小東峠を越えて大行沢沿いの山道を下る二人の女の旅姿があった。渓谷には梯子滝から雨滝、白滝が見られる鬱蒼とした難所であった。一人は姫で、もう一人は乳母であった。
 渓流で喉をうるおして休息しているうちに、姫は突然激しい腹痛を訴え、乳母は薬を貰いに峠の部落まで引き返した。後に残された姫は苦しんでいたが、異様な怪人が目の前に現れ、それを見た姫は気を失った。一方、乳母は薬を貰い大急ぎで戻ってみると姫の姿が見えない。乳母は驚き悲嘆のあまり滝に身を投じてしまった。

 姫は木の葉を敷きつめた洞窟の中で腹痛も治っていた。空腹を覚えて辺りを見渡すと先程の怪人と見えたのは全身白銀で覆われた大猿であった。
 やがて、姫と大猿との間に二人の男の子が生れた。これが磐二磐三郎の兄弟である。二人が生活した洞窟が、今の裏磐司の千人洞といわれている。

 磐二磐三郎は奥羽から北関東にかけて、マタギと称する狩猟民によってその元祖と仰がれている。
 山寺の『山立根元之巻』によると、磐二磐三郎は猿王と山姫の間に生まれた。父の猿王は、日光の神を助けて狩りの特権を得たが、慈覚大師が山寺を開いたので磐二磐三郎もその教化を受けて狩りの所業を止めたと伝えられている。

   


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