古今集 |
陸奥に有りといふなる名取川 なき名とりてはくるしかりけり |
壬生忠岑 |
続倭撰集 |
名取川春の日數のあらはれて 花にぞしづむ瀬々の埋木 |
前中納言 定家 |
古今集 |
名とり河せぜのむもれ木あらはれば 如何にせむとかあひ見そめけん |
読み人知らず |
新千載集 |
流れてのその夜かたりの名取川 かり逢瀬に身をや沈めん |
花園院 |
新後撰遺集 |
浅ましや逢瀬もしらぬ名取川 またきにいはま洩すべしやは |
前齋宮内侍 |
新古今集 |
名取川簗瀬の浪に騒ぐなる 紅葉やいとヾよりてせくらん |
源 重之 |
新古今集 |
ありとてもあはぬためしの名取川 朽たに果ぬ瀬々の埋木 |
寂蓮法師 |
續後撰集 |
朽ね唯猶物思ふ名取川 うかりし瀬々に残るうもれ木 |
祝部 成賢 |
續後撰集 |
憂身世に沈み果たる名取川 また埋木の數やそふらん |
藤原 伊長 |
續後拾遺集 |
顕れて袖のうゑなる名取川 今は我身にせくかたもなし |
前中納言 定家 |
新後撰集 |
名取川瀬々にありてふ埋木も淵にぞ沈む五月雨の頃 |
従三位爲繼 |
續拾遺集 |
名取川奈何にせんともまた知らず 思へば人を恨みけるかな |
前中納言 定家 |
續拾遺集 |
埋木のさてや朽なん名取川 顕れぬべき瀬々は過ぎにき |
津守國助女 |
山家集 |
名取川きしの紅葉のうつるかげは 同じ錦を底にさへしく |
西行法師 |