情報提供: ディスカバーたいはく1号
 所在地: 仙台市太白区
 連絡先: 太白区まちづくり推進協議会
 関連ホームページ: http://www.city.sendai.jp/taihaku/mati/discover/index.html

1 名取川

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名取川を新幹線が横切る
名取川を新幹線が横切る

太白区を流れる名取川
太白区を流れる名取川

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悠久の歴史を刻む名取川
 変化に富んだ渓谷美で知られる秋保・二口に、秀麗な山が二つそびえている。一つは大東岳、もう一つは神室岳。いずれも深い緑に包まれ、山と谷が際立ち、悠久の歴史を刻む。その地層は第三紀以前のもの。二百万年以上も前にさかのぼるという。
 名取川は神室岳のふもと、二口渓谷に源を発する大河。総延長は五十五キロに及び、太白区内を貫く。まさに、人類の歴史とともに歩んできた川といえよう。秋保の渓谷を下り、平野をうねり、閖上から海へと注ぐ。
 碁石川、広瀬川は、名取川の支流。それぞれ、生出、中田の各地で合流する。仙台のシンボル・広瀬川が、名取川水系であることを、初めて知った人も多いことだろう。


変化に富んだ流域の自然
 現在の名取川は、中流域から下流域にかけて、宅地の造成や都市開発が進み、急激に装いを変えた。しかし、上流域を中心に、豊かな自然も、たっぶりと残っている。
 神室岳・大東岳を中心とするブナ林。上流から中流にかけては、コナラやクリの林が広がる。ところどころに見えるのはスギ林だ。流域の地形は変化に富んで、百六十種以上の野鳥が観察されるという。
 そして、山深い上流域には、ニホンザルやニホンツキノワグマ、ニホンカモシカなど。さまざまな動物たちが暮らしている。
 さらに、水中に日を移せば、上流にイワナやヤマメ。水量が増し水温が高くなる中流にはアユやウグイがすむ。下流域には、水の汚れに強いコイやニゴイ、モツノ、オイカワなど。釣り人にとっても魅力あふれる命の川だ。


サケよ、再び
 名取川には秋になると、サケがのぼってくる。かつては、数えきれないほどのサケが、産卵のために帰ってきたという。しかし最近は、その数がめっきり減った。
 現在、サケは人工ふ化され、毎年約五十万匹が名取川と広瀬川に放流されている。回帰率は三%弱。三〜四年後に、一万五千匹近くが戻ってくる計算になる。
 恵みの川にふさわしい、サケの群れ。いつの日か、そんな光景が再び見られるのだろうか。
 中田小学校では昭和六十二年度から、サケの飼育を授業に取り入れている。子供たちは生命の尊さと自然の営みを、川を通じて学ぶことになる。
 植物に昆虫、動物に魚、木々の緑、深山に里の山々。名取川はうねり、下りながら、命の糧を分け与え続ける。

   


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